くつやのこびと

人間、忙しくなってくるといろんなことが起こります。ストレスで太る人。痩せる人。怒りっぽくなる人。他にこういう人がいるかどうかわからないんですが、あたしの場合、限界まで忙しくなると「こびとさん」が出現します。「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」と思っていたことを、いつの間にかやっておいてくれるんです。あたかもあの童話の靴屋さんに現れたこびとたちのように。

  • 例1:会社で、「ああっ、あの書類作ってない! 今から作らなきゃ!」と机の引き出しを開けると、なぜか中に完成書類が置いてある。きちんと推敲や修正までやってある。
  • 例2:家で「しまった食器洗ってなかった」とシンクに行くと、全部きれいに洗ってある。同様に、「洗濯物をたたまなきゃ」と思うと、いつのまにか全部たたんである。

ちなみに「こびとさん」の仕事は妙に正確で、上司からは「みやきちさんの作った書類はミスが少ないねえ」と誉められたりします。便利。でも、不気味。
論理的に考えるなら、これは「忙しすぎて短期記憶が吹っ飛んでいる」と考えるべきなのでしょうね。自分でタスクをこなしたことをすっかり忘れているから、あたかも他の「何か」が代わりにやってくれたように見えてしまうというわけ。とりあえず、「この現象が現れたら、『疲れてるからペースを落とせ』ってことだな」と解釈して、体調管理のバロメーターだと思うようにしています。しかしこれ、もし本当に自分以外のものが仕事してるんだったらどうしよう。切羽詰まるとスタンド「くつやのこびと」が勝手に発動するとかさ。あるいは、人格が交替して、みやきちとは違う有能な「誰か」がサクサクと用事を済ませてるとか。やだ怖い。いや、便利なんですけどね。