ディズニーキャラを同性同士でキスさせたアート、賛否両論を呼ぶ


イギリス王室属領ガーンジー島のアーティストが、ディズニーの人気キャラを同性同士でキスさせたアートを展示したことで、賛否両論を呼んでいます。

詳細は以下。

このアートを製作したのはシアン・ジョーンズ(Sian Jones)さん(25)。作品内でキスするキャラの組み合わせは、「アリエルとジャスミン」、そして「エリックとアラジン」。作品そのものの画像は、thisisguernsey.comで見ることができます。

ジョーンズさんは、この作品を「ガーンジー・アニュアル・アート・フェスティバル」で展示しました。結果として、人口65000人のガーンジー島で、そしてオンラインでも賛否両論が巻き起こっています。地元在住のある教師は、Facebookに以下のように書きこんだそうです。


「自分はお堅い人でもなければアンチゲイでもないが、少しうんざりしました。家族のイベントというのは、この作品を展示するべき場所ではないと思います。よちよち歩きの幼児に、どうしてアリエルとジャスミンが、そしてアラジンとエリックがキスしているのか説明するのはちょっと難しいです」
“While I’m neither a prude nor anti-gay I was a little put off. I don’t think a family event is the place to display this work. It is a little difficult to explain to toddlers why Ariel and Jasmine & Aladdin and Eric are kissing.”

また、「Proud Parenting」というブログには、以下のようなコメントが寄せられたそうです。


「このイベントは成人限定なんですか、それとも子供も入れるんですか? というのは、私は、子供たちがどうしてポカホンタスとアリエルは自分の彼氏を裏切っているのだろうと混乱すると思うからです。キスというのは、自分の付き合う相手とだけするべきでは? 子供たちがポリガマスな関係というコンセプトを理解するとは思いません」
“Is the event for adults only or children as well? Because I think the children will be confused about why Pocahontas and Ariel are cheating on their men. Aren’t you only supposed to kiss the person you’re with? I don’t think kids understand the concept of polygamous relationships.”

キスぐらいでこんなに騒いでたんじゃ、日本のコミケに来たら座りしょんべんもんじゃないの。とは思ったものの、よく考えたらコミケ参加者でもこういうのは「『一般人』から隠すべき、恥ずかしいこと」だと思ってる人は少なくないんだよなあ。ということは、日本に来たってよけいに偏見をこじらせるだけかも。手に手を取って「こういうのは子供には見せないようにしましょう!」「そうだそうだ!」と意気投合して終わりだったりして。

ちなみに、この手の「子供に見せるな」系の意見に関しては、Pinknewsコメント欄の以下の意見が秀逸でした。


ゲイについて言及するものはすべて「家族の」イベントから閉め出すべきだという主張は、非常に有害です。両親が同性愛者である家族もあります。同性愛者の子供や、おばさん、おじさん、孫その他がいる家族もあります。
うわべは善意の人のように見える人でも、このことに関してはごたごたを起こしたりします。でも、そんなことをしても、同性愛者であることには何かきわどいことがあるという考え方を強化するだけなのです。
It’s so harmful to say that any mention of anything gay should be kept out of ‘family’ events. Some families consist of gay parents. Some families consist of gay kids. Aunts. Uncles. Grandparents. Etc.
Even seemingly well-meaning people sometimes fall foul of this, but all it does is reinforce the idea that there is something risqué about being gay.


うちの息子はいつも、どうしておとぎ話は王子×王女なんだろうと思っていました。息子は騎士×王子や、王女×王女などが見たかったのです。浮気ですって? 子供たちに、キャラクタは同じでも、別のおとぎ話なんだと説明すればいいだけです。やれやれ……
My son always wondered why the fairytales had only princessxprince. he wanted knightxprince, princexprince, etc. Cheating? Just explain to kids same characters, different fairytale. Geez…

thisisguernsey.comのコメント欄では、このアートの妥当性や著作権の問題などについて、比較的おだやかに、かつユーモアたっぷりに議論されています。同性愛を頭から否定する意見もないわけではないのですが、「これを批判するのはホモフォビックだ」「この作品はクール」「うちの2歳児はとても気に入るだろう」などの好意的な声もたくさん見られますね。一番ウケたのは、このジョーク。


カエルにキスするプリンセスはすごく獣欲的!! 憤慨しました!!
Princess kissing frogs is simply bestial!! I’m outraged!

あはは、考えてみれば、カエルと王女さまをキスさせちゃうジャンルなんですもんね、おとぎ話って。それなのにこれぐらいで何をいまさら、ってことです。

なお、PinkNewsによると、ジョーンズさん本人は以下のように話しているそうです。


「大学で、アートとは人々に自分の考えを疑わせて反応を引き起こすものであるべきと教わったことを覚えています。ですから、そういう意味でこれは成功でした」
“I remember learning at university that art should be about making people question their views and react, so in those terms it was a success.”