ミズーリ州下院議員、銃所有者は同性愛者より差別されていると主張(しかし具体例はひとつも挙げられず)


ミズーリ州下院議員ワンダ・ブラウン(Wanda Brown)氏が、銃所有者を想像上の「差別」から守る法案を起草して話題になっています。非常に面白いのは、同議員が銃所持者が受けた「差別」の実例をひとつも挙げられない反面、性的指向による差別の存在はガン無視していること。The Daily Show with Jon Stwartというテレビ番組で、この矛盾が徹底的に皮肉られています。

詳細は以下。

上記リンク先の下部に貼り付けられているTV番組(The Daily Show)の動画がむちゃくちゃ面白いんですよ。リポーターのAasif Mandviさんが、あくまでも真面目に、しかしユーモアたっぷりにブラウン議員の矛盾点を浮き彫りにしていく手腕がみごとです。何か所かざっくり訳してみると、こんな感じ。


ブラウン議員「この法律は、銃の所持や使用を理由として雇用者が労働者を解雇することを禁じるというものです。雇用者はそのような理由でだれかを解雇することはできません」
リポーター「銃所有者は既に保護されているのではないのですか?」
ブラウン議員「合衆国には憲法修正第2条があり、これは常に遵守されるべきです」

憲法修正第2条というのは人民の武装権を定めたもので、Wikipediaによると「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有し、また携帯する権利は、これを侵してはならない」という内容ですね。既にこうした憲法上の権利があるにもかかわらず、ブラウン議員はなぜかさらなる法律を作って、銃所有者を「職場における差別」から守ろうとご執心なわけです。

でも本当に「差別被害者」はいるんでしょうか。この後リポーターは実際に銃を持っている人に訊いて回ってますが、「銃の所持が原因で解雇されたことがある」という人は見つかりません。

で、こんな展開になるわけ。


リポーター「あなたは、差別を見かけたら、その差別と戦いたいと思うタイプの方なのですね?」
ブラウン議員「そうです」
(中略)
リポーター「現時点で、銃所有者が差別された例を何件ぐらいご存知ですか?」
ブラウン議員(一瞬沈黙してから)「……例を挙げることは差し控えたいと思います」
リポーター「何千件もご存知なのでしょう。いくつか教えていただけませんか」
(ブラウン議員、結局ひとつも例を挙げられずじまい)

というわけで、どうやら実在しない「被害者」を守るための法案らしいですよこれは。一方、ミズーリ州下院では昨年、性的指向に基づく差別を禁止するという法案が否決されていたりします。で、こんな話になります。


リポーター「憲法修正第2条の範囲を越えるものは支持しますか? たとえば性的指向とか」
ブラウン議員「わ…わかりません。私は……わかりません」
リポーター「でもあなたは差別に反対する方ですよね?」
ブラウン議員「ええと、その通りです」
(中略)
リポーター「性的指向を理由として解雇された人についてはどう思われます?」
ブラウン議員「過去にそんなことが起こったのですか?」
リポーター「はい」
ブラウン議員「例を挙げてください」

自分はひとつも例を挙げられないのに、ゲイ差別については実例を要求するというこの矛盾。ここからリポーターが延々と職場におけるLGBT差別の実例を並べていくくだり(4:45〜)は圧巻です。グラフのアニメーションも圧巻。ここがこの動画のハイライトであり、ものすご痛快なので、この部分だけでもぜひ見てほしいです。
さらに、ここまで例を挙げられてもまだLGBT差別を否認しようとする議員の悪あがきと、それに対するリポーターの切り返しが最高でした。


ブラウン議員「彼らは駄目な労働者だったせいで解雇されたのかもしれませんよ。この人たちは訴訟は起こしたのですか?」
リポーター「違法とされていないことについて訴訟を起こして、勝てる見込みがどれだけあるというんです?」
ブラウン議員「わ……わかりません」
リポーター「0パーセントだと思うのですが」
ブラウン議員「何が0パーセントなのです?」
リポーター「それ(性的指向にもとづく解雇)が違法でないのなら、訴えても勝つ見込みは0パーセントだってことです」
ブラウン議員「そうですか。それで、その根拠はあるのですか?」
リポーター「あります。『常識』です」
そうだよ、常識だよ!!
本当に「差別と戦いたいと思う」のなら、想像ででっちあげた「被害者」の保護にいそしむより、現実に被害を受けて苦しんでいる人たちに手をさしのべてもらいたいもんです。なお、この番組の動画はオフィシャルサイトでも見ることができ、そこにつけられているコメントの数々も興味深かったです。お時間がおありの方は、そちらもぜひ。