「ハフィントン・ポスト」コラムニストの息子、7歳にしてゲイだとカムアウト


米国のインターネット新聞「ハフィントン・ポスト」(Huffington Post)に執筆しているブロガーのアメリアさんが、彼女の息子が7歳にしてゲイだとカミングアウトしたと書いています。

詳細は以下。

この息子さんはずっと『Glee』のブレインが大好きで、ブレインのことを「ぼくのボーイフレンド」と言っていたとのこと。彼はほんの6ヶ月前までは「ゲイ」という単語自体を知らなかったものの、同性同士で結婚する人もあたりまえに存在するということはずっと前から知っていて、それゆえ、わざわざその状態を指す特別な語は必要なかったのだとアメリアさんは書いています。

この子のカミングアウトは、アメリアさんが親戚と電話をしているときに起こりました。アメリアさんがブログに息子がブレインに夢中だと書いたことが話題にのぼり、「わたしたちはあの子が異性愛者だと言っているわけでも、ゲイだと言っているわけでもないんです。彼が何であろうと愛していると言ってるの」と言ったとき、後ろから息子さんの声が聞こえてきたのだそうです。


「うん、ぼくはそうだよ」と彼は言った。

「ぼくは何だって?」わたしは尋ねた。

「ゲイだよ。ぼくはゲイなんだ」

世界が一瞬止まり、わたしは息子の「え、ママもう知ってるんじゃなかったの?」という表情をながめた。
電話から離れ、息子と同じ目の高さにかがんで、わたしの鼻を息子の鼻にこすりつけた。「すごく愛してるわ」
「わかってる」と彼は言い、兄弟たちと遊ぼうと走り去っていった。

"Yes, I am," he said.

"Am what, baby?" I asked.
"Gay. I'm gay."
My world paused for a moment, and I saw the "geez, Mom, didn't you know that already?" look on my son's face.
I got off the phone and leaned down to eye level with him and rubbed my nose against his. "I love you so much."
"I know," he said, and ran off to play with his brothers.

この子が「ゲイ」という単語を使うようになったのは、この日からなのだそうです。ちなみに彼のお父さんは、「ぼくはゲイ」発言の後、「わかってるよ、小僧」と息子の頭をわしわし撫で、「それにおまえすごいよ」と言っていたそうです。

アメリアさんは「7歳でカミングアウトする人がどれだけいるのだろうか」「人は子どもに性的指向があるというだけで不安になる。それはわたしたちが考えない(または、単に考えたくない)ことのひとつだ」と述べた後、次のような示唆に富む指摘をしています。


しかし、ここに問題があるのだ。異性愛者の子どもたちは何もアナウンスすることがない。異性愛は当然のことだと決めつけられている。小さな女の子が寝室にジャスティン・ビーバーのポスターを貼っても、またはことあるごとに男の子と結婚ごっこをしたがっても、誰も眉ひとつ動かさない。もし性的指向が人間の一部をなすものなら、どうして小学校時代にそれがないなんて言えるのか?
But here's the thing: straight children have nothing to announce. Straight is the assumption. No one bats an eye at a little girl with a Justin Bieber poster in her bedroom, or when little girls love playing wedding with little boys every chance they get. If our sexual orientation is simply part of who we are, why wouldn't it be there in our elementary years?

わたしは、数え切れないほどたくさんの大人が「幼稚園児の年ですでに自分が同性愛者だとわかっていたが、それを指す単語を知らなかった」と話すのを聞いたことがある。そして、たいていの場合、彼らは同性愛は隠さなければならない悪いことだと思っていたのだ。わたしの息子にとっては同性愛者は日常生活の一部で、彼はゲイという語を知っていたから、彼はそれが何か悪いことだとは1度も思いつかなかったのである。
I've heard from countless adults who say they knew that they were gay as young as kindergarten but lacked the language to talk about it. And in most cases, they knew it was something wrong that they should hide. Because gay people are part of my son's everyday life, he has the vocabulary, and it has never occurred to him there is anything wrong with it.

日本でも、自分は幼稚園時代からゲイだったと言う男性はいっぱいいますよね。「性の目ざめのきっかけは、ピチピチスーツの特撮ヒーローだった」とか、そういう話をよく聞きます。で、やっぱり、皆さん(1)それを表現する単語を知らなかった、(2)同性に惹かれるのはなんだか悪いことらしいと思っていた(より厳密にいうと、周囲にそう刷り込まれていた)という2点から、もやもやしたまま思春期まで引きずっちゃうパターンが多いみたい。

これが異性愛者だと、たとえば男の子が女性保育士さんに夢中になって「○○せんせいだいすきー!」と叫んでも周囲は「初恋なのねえ」とにこにこ見守るだけでしょう。誰も彼に「あなたは異性愛者なのね」とか言わない。「この年でもう性的指向があるの?」なんて言わない。幼稚園児の側も、いちいち「ぼくはヘテロだよ」なんて言わなくていい。異性愛は無徴で、「ふつう」で、人間はみな自動的に異性愛者になるのがあたりまえだと思われているからです。この不均衡(そしてそれは、性的少数者にいらんプレッシャーをおしつける不均衡でもあります)、いったいどうしたらいいんでしょうね。

Hanne Blank: 10 Surprising Facts About Heterosexualityによると、実は科学はいまだに「異性愛」の定義すらおこなっていないのだそうです。「ゲイ遺伝子」やら「ゲイ脳」やらの研究は熱心におこなわれる一方で、異性愛はなんとなく経験的にそういうものが存在すると考えられているのみ。自然科学も生物医学も異性愛の存在を確証してはいない……というか、誰も確証しようとすら思ったことがないというのが現状みたい。こんな状況で、性的少数者の子どもだけがいちいち「カミングアウト」しなければならなかったり、性的指向の存在を疑問視されたりするというのはなんだか変だと思います。

ちなみにアメリアさんが息子(当時6歳)のブレインへの夢中っぷりについて書いた記事はこちら。すごくかわいい内容なので、お時間のある方はぜひどうぞ。