米ヴァージニアの学校区、異性装を禁止か


米国ヴァージニア州のサフォーク学校区が、「いじめとハラスメントから生徒を守るため」と称して生徒の異性装を禁止しようとしているそうです。

詳細は以下。

この校区の教育委員会は、2008年にカリフォルニアの学校で起こった殺人事件を引き合いに出して、生徒たちが「ジェンダーに合わない」服を着ることを禁止するかどうか比較考量中だとのこと。ちなみにこの殺人事件というのは、ハイヒールをはいて化粧して学校に行っていたローレンス・キング君(15)が教室で撃ち殺されたというものです。ヴァージニア州アメリカ自由人権協会(ACLU)および地元LGBT団体は、異性装の禁止はあいまいで差別的なものとして反対意見を表明しているとのこと。

なお、3月に行われる投票の結果次第で、この校区では6月から異性装が禁止される可能性があるそうです。

異性装を禁止する前にいじめやハラスメントの方を禁止するっていう発想はないんでしょうか、この教育委員会。「異性の格好なんかしていたらいじめられて当たり前、だから禁止しちゃえ」っていう発想が透けて見えるんですが。あと、元記事にもありますが、「女子生徒がジーンズをはいていたら異性装なのか」など、判断が難しいケースが多すぎると思うんです。その判断はいったい誰がするんでしょう。面倒臭いから女子は全員スカートをはけ、みたいなばかげた結果になりはしませんか。

この教育委員会が引き合いに出しているローレンス・キング君殺害事件について、このような意見があります。


警察によってブランドン・マキナニーであると特定された銃撃犯「は、ローレンスと同様被害者です」とトランスジェンダー法律センターのメイスン・デイヴィス代表は語った。「彼はホモフォビアと憎悪の被害者なのです」
The gunman, identified by the police as Brandon McInerney, “is just as much a victim as Lawrence,” said Masen Davis, executive director of the Transgender Law Center. “He’s a victim of homophobia and hate.”
あたしも同意です。直接的に暴力をふるわれることのみならず、「○○ならば暴力をふるっていい、殺していい」と憎悪を刷り込まれて育つことも、また被害です。「異性の格好なんかしていたらいじめられて当たり前、だから禁止しちゃえ」式のルールは、問題を解決しないばかりか、憎悪の刷り込みを促進するだけでしょう。仮にも教育機関なら、子どもには「人がどんな格好をしていようといじめや暴力は許されない」と教えてほしいです。