映画『塔の上のラプンツェル』感想

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ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 2011-07-20
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積みDVD(&ブルーレイ)になってたのを、ようやく見ました。一言で言うと期待はずれでした。興行成績が『美女と野獣』を抜いたっていうから、どれほどすばらしい作品かと思ったんだけどなあ。いつものディズニー作品の水準からいったら、5段階評価で3ってとこじゃない?
最大の欠点は、音楽に力が感じられないこと。きれいなだけで耳に残らず、映画全体を貫くようなテーマが伝わってこないと思いました。正直、ミュージカル部分になると画面から半分目をそらし、早いとこ歌い終わって話を進めてくれないかと祈っていたぐらい。いったいどうしたアラン・メンケン。『美女と野獣』も、『アラジン』も、『リトルショップ・オブ・ホラーズ』も、こんな風では決してなかったぞ!

ストーリーは、「娘と操作的な母親との対立」(ラプンツェルと魔女は厳密には母娘じゃありませんが)という今日的な要素を強く打ち出すところはすごく面白かったと思います。でも、その反面、冒頭と終盤のつくりが杜撰すぎるとも感じました。そもそも花を刈り取って独り占めしちゃったのは誰なんだよと。さらには、仮にも母と思って慕っていた相手がああなっても何の屈折も見せず、惚れた男にだけ夢中な主人公ってどうなのよと。もうひとつ、旧来のジェンダー・ロールをひっくり返すかと思わせておいて、結局手垢のついた路線に戻しちゃう結末にも納得いきませんでした。「新しいことをやってみせるかのようなふりをして、実は古臭い価値観(魔女は絶対悪だとか、○○○ー○は必ず○がするものだとか)にあちこちで寄りかかりまくり」という、なんかねじれた作品だとあたしは思いました。

唯一手放しで「すごい!」と褒められるのは、ラプンツェルの長い長い金髪のCGアニメーション。これはもうほんとにリアルでダイナミックで美しかったです。映画館であれを見られたら、さぞ楽しかったろうになあ。

おまけ

ディズニーは知ってるけど、『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』なんて知らないわという方のために、名曲「Mean Green Mother from Outerspace」の場面を載せときます。こういうすげえ音楽を書く人のはずなんだよアラン・メンケンは。