『レヴォリューションNo.3』(金城一紀、角川書店)感想

レヴォリューション No.3 (角川文庫)レヴォリューション No.3 (角川文庫)
金城 一紀

角川グループパブリッシング 2008-09-25
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偏差値が「脳死と判定されてしまう血圧値ぐらいしかない」オチコボレ高校の愛すべき馬鹿ども、通称「ザ・ゾンビーズ」の活躍を描く短編集。彼らがお嬢様女子校の文化祭にもぐり込もうと画策する「レヴォリューションNo.3」、奪われた金を巡って奔走する「ラン、ボーイズ、ラン」、ストーカーから美人を守る「異教徒たちの踊り」の3編が収録されています。全編にみなぎるみずみずしさとおかしさはまさに青春小説そのものですが、もっとも注目すべきは、彼らの底なしの明るさの中に厳然と存在する、ある種の悲痛さ。その悲痛さが的確に掘り下げられているからこそ、ふざけた鬨の声を上げて突進し、「俺たちの世界は、正常に機能してるよ」と笑う彼らのまぶしさが一層きわだってくるのだと思います。
ゾンビーズ・シリーズはこれまで『フライ、ダディ、フライ』しか読んでいなかったのですが、あまりの面白さに速攻で『SPEED』も読むことに決定。ちょうど6月23日に文庫版が発売されるようなので、それを買うつもりです。