ミネソタ大研究者、同性愛を「治す」iPhoneアプリが自分の研究を歪曲しているとして削除を要請

同性愛を“治療する”キリスト教団体のiPhoneアプリ禁止を求め、6500人以上が署名 - みやきち日記の続報です。米国ミネソタ大の研究者が、このアプリは自分の研究をねじ曲げて使用しているとして、ストアから削除するよう要請する手紙をアップルに送ったそうです。

詳細は以下。

この研究者は米国ミネソタ大学のGary Remafedi博士。アップルの創設者スティーブ・ジョブズ氏と、最高執行責任者(COO)のティム・クック氏に対し、このiPhoneアプリをストアから削除するよう要求する手紙を書いたとのことです。

キリスト教団体「エクソダス・インターナショナル」が無料で提供しているこのアプリからは、同団体が運営しているこちらのWebページに直接飛ぶことができます。これは同性愛についてのQ&Aのページで、こんな質問が載っています。


もし同性に惹かれても行動に出なかったとしたら、同性愛者だということになりますか? 同性同士で肉体関係を持ったらどうなりますか? そうしたら同性愛者になるのですか?
If people are same-sex attracted but don’t ever act on it, does that make them homosexual? What if they do engage in same-sex physical intimacy? Are they homosexual then?

Remafedi博士は、エクソダスはこの質問に対する解答の中で、同性愛が若年期の一時的な状態であるかのように見せかけるために自分の研究を歪曲していると主張しています。以下、博士がジョブズ氏とクック氏に宛てた手紙から引用します。


米国医師会やアメリカ小児科学会を含む多くの専門家組織が、同性愛は精神的または身体的な病気ではないという立場をとっています。性的指向を変えることを目的とするプログラムは、正当性に欠け、効果がなく、非倫理的で、有害だという理由で反対されています。
エクソダスのウェブサイトは、間違った意見と結論を述べる記事(Buchanan 2010) を呼び物にし、記事の意見や結論の根拠はRemafedi (1992)にあるとしています。Buchananの意見は、多くの十代の子どもたちが自分の性的指向のことで混乱しており、性的指向は容易に変化するものであるという趣旨で書かれたものです。さらに、私の研究をex-gay(訳注:多くは宗教団体が提供している、『ゲイを“治療”する』という触れ込みの療法)派の聖職者やその他の知られざる治療法と結びつけることは有害で、言語道断です。
Various professional organizations, including the American Medical Association and the American Academy of Pediatrics, have taken the position that homosexuality is not a mental or physical condition. Programs which aim to change sexual orientation have been opposed because they are unwarranted, ineffective, unethical, and harmful.
Exodus’s website features an article (Buchanan 2010) which makes erroneous statements and conclusions and attributes them to Remafedi (1992). Statements were made to the effect to that many teens are confused about their sexual orientation and that sexual orientation is amenable to change. Further, associating my work with that of the ex-gay ministry and other unfounded treatments is professionally injurious and grievous.


健康や社会についての重要な話題で誤情報を流すプラットフォームを提供して消費者を不快にしたり、また害を与えたりするリスクは、経済的な利益の見込みよりはるかに重いものであると私は考えています。議論の余地はありますが、企業は憲法修正第1条に守られたベンダに対し積極的責任を持たないにしても、製品の質や社会的意義については説明責任があります。
From my perspective, the risk of offending and harming consumers by providing a platform for erroneous information about an important health and social topic far outweighs the potential financial gain.Arguably, corporations have no affirmative responsibility to vendors under the First Amendment of the Constitution, but they are accountable for the quality and consequences of their products.

change.orgではこのアプリをストアから削除するよう求める署名が行われており、2011年3月22日現在、12万人を越える人が署名しています。AFPBB Newsによると、エクソダスはこの署名活動を“「言論の自由に対する攻撃であり、本アプリケーションの目的を不適切にゆがめて捉えたものだ」と非難”しているそうです。さて、果たしてアップルは、エクソダスの言う「言論の自由」と、既存の研究をねじ曲げた情報でユーザに害を与えるリスクのどちらを取るのでしょう?