マクドナルド、LGBTサイトのWi-Fiアクセスブロックを一部解除するも……

マクドナルド、LGBT支援サイトへのアクセスをブロック - みやきち日記と、「要望があればフィルタリングを見直す」マクドナルド、ニュージーランドでのWi-Fiアクセスブロックについて発言 - みやきち日記の続報です。

ニュージーランド店舗での無料Wi-FiサービスでLGBTサイトをフィルタリングしていたマクドナルドが、一部サイトのアクセスブロックを解除すると発表したそうです。しかしながら同社は、ゲイニュースサイトのGayNZ.comはブロックし続けると主張。理由は、第三者による「性的に露骨な」広告があるから。GayNZ.comは、マクドナルドが接続許可している他の「家族向け」サイトにはもっと露骨な広告やコンテンツがあるのにブロックされていないと指摘し、抗議しています。

詳細は以下。

Pink Newsによると、マクドナルドは2010年12月からこの無料Wi-Fiのインストールを始め、現在ではニュージーランド最大の無料インターネット・プロバイダになったと発言しているそうです。その無料かつ家族向けの、つまりは子どもが見ることができるサイトしか許可しないはずのプロバイダの実態はというと、GayNZ.comのこちらの記事がくわしいです。以下、要点を箇条書きにしてみます。

  • 18禁映画のレイプシーンを見ることができる
  • ナショナル・フロント(白人至上主義の極右政党)のサイトを見ることができる
  • 「茶色い人や黒い人」が白人と比べていかに頭が悪いかについて書かれた文章を読める
  • マオリ族がいかに「貪欲」か、そして白人が官僚主義やら腰抜け政治家やらのためにいかに「公正な扱い」を受けられずにいるかについて読むことができる
  • 「Exodus Ministries」(キリスト教系サイト)であらゆるアンチゲイなコンテンツを読めるし、他のさらに憎悪に満ちたサイトへのリンクもクリックできる
  • でも、LGBTユースを支援する「Rainbow Youth」や、ゲイのビジネス・グループのサイト「GABA」は見られない

元記事ではこんな風に端的に、そして皮肉にまとめられています。


マクドナルドのような家族向けの環境では、子どもの命を救うカウンセリングや支援の情報にアクセスすることが受け入れられないことは明白だ。しかし、子どもがレイプを見たり、レイシズムをつのらせたり、白人優越主義者になったりすることは受け入れられるのだ。
Obviously in a family friendly environment like McDonald's it is not ok to access counselling and support information that could save the lives of our kids. But it is ok for them to watch a rape, feed racism, and become a white supremacist.

こうなってくると「家族向け」の定義って何? って話になってきますよね。GayNZ.comはまた、マクドナルドへの公開書簡で、「ホットメールなどのノン・ゲイなサービスに性的な広告やエロスパムが山ほどあるのに、ゲイサイトの広告だけが問題視されるのはおかしいとの疑問を呈しています。言われてみれば、確かに。

思うんですけど、「情報へのアクセスが禁じられている」という事実自体が、子どもへの「これはよくないことなのだ」という暗黙のメッセージになり得ると思うんです。男女間のレイプポルノは自由に見られるけど、裸の男性が微笑んでいるゲイ向け広告(GayNZ.comのトップページに載っているような)は不可というのは、つまりは「(男性から女性への性犯罪はOKだが)同性愛はよくないことである」というメッセージでしかないでしょ。それは問題あると思うんですよ。
トランス脂肪酸の使用をやめるのもいいけど、本当に子どものことを思うなら、こういう点についてももう少し慎重な検討を重ねてはいただけませんかねマクドナルドさん。白人ヘテロセクシュアル男子(の、人種差別主義者で女性蔑視で同性愛嫌悪の子)だけが「子ども」だってわけじゃないんですから。