福岡のフリーペーパー「World JC」が、「LGBT市場の可能性」特集を掲載

福岡のフリーペーパー「World JC」vol.58(12月号)の「LGBT市場の可能性」特集が面白いです。Webでも読むことができ、URLは以下の通り。

LGBTという用語の説明に始まり、日本国内のLGBTの推定数と市場規模、トランスジェンダー当事者やLGBT専門の行政書士さんの声、アメリカのLGBT市場の実態、そしてさまざまな企業のLGBTビジネスの実態(良い例も首をかしげてしまう例も)などが紹介されています。非常にわかりやすく充実した特集です。

個人的には、作家の入江敦彦さんによる記事の、イケア・ジャパンとホンダの話(p. 8)が印象的でしたね。


イケア・ジャパンのPR担当者にゲイをターゲットにした世界的に有名な自社のTVCMについて訊ねたとき、「当社ではそのようなことはしておりませんっ! 家族がコンセプトですので!」と、同性愛者に対して否定的なニュアンスを匂わせ、挙句「誰かがブログに冗談で書いたのが広まったんじゃないですか?」なんて言ってしまうのは、さすがにどうかと思う。
つまりイケア・ジャパン(の、そのPR担当者)にとっては、同社のこうした↓CMは存在しなかったことになっており、同性愛者の家庭は「家族」じゃないということなのでしょうか。うひゃー。

これと好対照なのがホンダ(p. 9)です。


最近ホンダが打った広告にはさすがのゲイライト運動家たちも驚いた。「ホンダがエコカーでめざす美しい未来図、たとえばそれは同性愛者への偏見のない社会だ」と堂々と謳っているのだから。

すごいわ、ホンダ。ちょっと探してみたところ、ホンダはたとえばこんな風にゲイフレンドリーなCMを製作してるみたいです。知らなかった……!

子連れのヘテロカップルのみならず子連れのゲイカップルもごく当たり前に登場させ、しめくくりに「みんなのためのハイブリッドが、ここに」とナレーション。いいなあ、日本国内でもやってよ、こういうの。

この特集記事では、他にはアラブ圏からのゲイの難民申請を許可した英最高裁裁判長の台詞(p. 9)にもぐっときましたし、「LGBT当事者からも市場への早急な参入が求められているのは、不動産と保険業界だ」などという指摘(p. 6)にも深くうなずかされました。それ以外にも興味深い記述がいっぱい。日本語の媒体で、これだけ充実したLGBT特集が組まれていることが、たいへん嬉しかったです。というわけで、ご興味がおありの方は、ぜひ。