スウェーデンの博物館、LGBTテーマの作品の展示を中止

スウェーデンのゴーセンバーグにある世界文化博物館(Museum of World Culture)が、宗教におけるLGBT迫害をテーマとする作品の展示をとりやめたというニュース。

この展示物を製作したのは写真家のElisabeth Ohlsson- Wallinさん。三大一神教キリスト教イスラム教、ユダヤ教)におけるLGBTへの迫害を表現するため、エルサレムで撮影を行ったとのことです。作品の内容は、聖書やコーランで同性愛が糾弾されている部分と、半裸またはほとんど全裸の同性同士の人々の写真を組み合わせるというもの。

ところが世界文化博物館は、Ohlsson- Wallinさんの撮影旅行費を一部負担していたにもかかわらず、展示の中止を決定。各宗教の代表者と相談したのち、この展示が人に不快感を与えると判断したというのがその理由だそうです。博物館側は作品を他の題材の一部として展示してはどうかと提案しましたが、Ohlsson- Wallinさんは見た人の混乱を招くとしてこれを拒否。Ohlsson- Wallinさんは、スウェーデン・テレビ (SvT) に対し、進んで作品展を行ってくれそうな他の美術館と連絡をとっていると語っているそうです。

スウェーデンは2009年に同性婚も合法化していますし、LGBTフレンドリーな国という印象があったので、これはちょっと意外でした。ただし元記事によると、Ohlsson- Wallinさんが1998年の「Ecce Homo」(『この人を見よ』)いう作品展でキリストを同性愛者として描いたときには、クリスチャンの立腹こそあれ、展示そのものは中止されなかったのだそうです。この作品展はなんと、ウプサラ(スウェーデン南東部の都市)の有名な大聖堂の中で行われたりもしたとか。キリスト教だけなら大丈夫でも他の宗教も絡んでくると問題が大きくなりすぎるとか、そういうことなんでしょうか。

ちなみにElisabeth Ohlsson- Wallinさんというのは、こんな写真を撮る人。

もし作品展が日本にも来るのなら、すごく見てみたいです。

単語・語句など

単語・語句 意味
disturbing 不穏な、騒がしい
monotheistic 一神教
Gothenburg ゴーセンバーグ