恩赦で釈放されたマラウイ人カップル、TVに出演

マラウイのカップル、釈放される - みやきち日記の続報です。
ここまでのあらすじを簡単にまとめると、以下のようになります。

マラウイ共和国で、Tiwonge ChimbalangaさんとSteven Monjezaさんの同性*1 カップルが、婚約披露パーティを開く
「自然の理に反する性交」を行った罪で逮捕され、最高で懲役14年の刑に
マラウイ、世界各国から批判される
国連の潘基文事務総長がマラウイを訪問
ムタリカ大統領、恩赦でこの2人を釈放
釈放後、2人の消息がわからなくなる

行方がわからなくなっていたこのカップルが、、2010年6月2日に、Lilongwe市で記者会見をおこなったとのことです。記者会見の模様はTVでも放映されたのだそうで、いくつかのニュースサイトが映像を紹介していましたが、現在YouTubeからは動画が削除されている模様。

記者会見でこのふたりは、ビング・ワ・ムタリカ大統領を、「思いやりのある父親」「寛容な大統領」と形容したそうです。また、各メディアに対しては、彼らのプライバシーを尊重してほしいと頼んだとのこと。以下、AFPからこのカップルの声明を引用します。

「大統領は、彼が思いやりのある父親で、理解ある寛容な大統領であることをはっきり示してくれました。人権尊重と経済的繁栄に向けてこの国を率い、日々努力しておられる大統領の健康をお祈りします。
"The president has demonstrated that he is a caring father, a considerate and tolerant president. We wish him good health in his everyday endeavours as he continues leading the country to respecting human rights and to economic prosperity,"

「私たちについては良いことも悪いこともとてもたくさん言われたり、書かれたりしました。そろそろ私たちが自由を楽しむ機会が与えられてもいい頃です」
"So much has been said and written about us, both positive and negative. We think this is the time for us to be given an opportunity to enjoy our freedom,"

ちなみにマラウイの人々は概して2人に重い刑罰を与えたがっており、釈放に反対するムードがあるそうです。大統領は6月2日、国民に対し、このカップルの「邪悪な」結婚について話すのをやめるようにと要請したとのこと。大統領はまた、TiwongeさんとStevenさんの結婚は「我々の文化に反し、宗教に反し、法律に反する犯罪を犯したのだから邪悪である」が、「あやまつは人の常、許すは神の業」であるから恩赦を与えたと話しているとのことです。

まずはTiwongeさんとStevenさんが無事でよかったです。それでも、マラウイ国内のムードがこのカップルに批判的で、恩赦を与えた大統領までもがこの2人の関係を「邪悪」「犯罪」と読んでいるところに、心は痛みますが。

なお、このカップルの関係について少し補足を。早い段階では「ゲイカップル」とのみ報道されていたTiwongeさんとStevenさんですが、その後、Tiwongeさんの性自認は女性で、服も女性用のものを着ているという情報が入っています。そのため、メディアによっては「ゲイ」という表記をやめたり、「“ゲイ”カップル」という引用符つきの表記に切り替えたりしているようです。また、ゲイでないならTiwongeさんはトランスなのかという疑問に対し、「ゲイ」も「トランスジェンダー」も西洋の基準によるものであって、それをこのケースにそのままあてはめるのは問題だとする声も上がっています。これらの事情を鑑み、うちの「LGBTニュース」では記事内の「ゲイカップル」表記を改め、さらに「同性同士」という記述には「法律上は『男性』同士ですが、Tiwonge Chimbalangaさんは自分自身を女性とアイデンティファイしているそうです。参考：http://www.boxturtlebulletin.com/2010/05/22/22871」という但し書きをつけることにしました。以上、ご了承ください。

*1:法律上は「男性」同士ですが、Tiwonge Chimbalangaさんは自分自身を女性とアイデンティファイしているそうです。参考：http://www.boxturtlebulletin.com/2010/05/22/22871

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