英国の10代少女2名、『時計仕掛けのオレンジ』風にゲイ男性を殺害

2009年のエントリ「英国のゲイ男性、トラファルガー広場でティーンエイジャー3人に殴られ死亡 - みやきち日記」の続報です。裁判でこのゲイ男性が殺害された過程が明らかになり、それによると、犯人のうち少女2名は被害者に対しまるで映画『時計仕掛けのオレンジ』のような激しい暴力をふるっていたとのことです。
まず、この事件の概要を過去記事から引用しておくと、こんな感じです。


英ロンドンのトラファルガー広場で、ゲイ男性が10代の少女2人と少年1人から殴る蹴るの暴行を受け、死に至ったというニュース。犯人たちは逮捕され、10月30日には同広場で有志による追悼と抗議の集会が行われることになっています。
この事件で亡くなられたのはIan Baynhamさん(62)。2009年9月25日の夜10時45分頃、友人(恋人ではなく)と一緒にトラファルガー広場を歩いていた彼に、犯人グループの少女がホモフォビックな罵倒を投げかけました。さらに犯人グループの少年がBaynhamさんを殴り倒し、地面に転がった彼を今度は少女(たち)が蹴り始めたそうです。Baynhamさんの友人は幸いにも軽傷で済み、一旦少女のひとりを捕まえましたが、「少女が男に襲われている」と勘違いした通行人に阻止され、そのまま逃げられてしまったとのこと。
この襲撃によりBaynhamさんは脳に損傷を負って重体となり、病院に収容された後、10月13日に還らぬ人となりました。
ロンドン警視庁は犯人たちを逮捕しましたが、少女2人は17歳、少年は18歳だったそうです。

今回、公判で明らかになったのは、この17歳少女たち(Ruby ThomasとRachel Burke)はBaynhamさんの胸部を踏みつけ、頭を蹴り、血を流して地面に横たわる被害者にさらに攻撃を加え続けて頭蓋骨を粉砕していたということ。Baynhamさんの友人が止めに入ろうとした際、Burkeはこの友人の顔を殴りつけたそうです。

以下、Brian Altman勅撰弁護人の言葉。


「目撃者のひとりは、犯行場面の暴力を映画『時計仕掛けのオレンジ』になぞらえました。ここで起こったのはすべて、あまりにもよくある、気の滅入るような、酒の上での粗野な行動の物語です。しかし、彼らのやったことは、単なる反社会的行動の範疇をはるかに超えていました。
“One onlooker likened the level of violence to a scene from the film A Clockwork Orange. What happened was an all too familiar and depressing tale of drunken, loutish behaviour. But what they did went far beyond mere antisocial conduct.

Altman勅撰弁護人によると、Baynhamさんは犯行グループの少年に殴り倒された時点で意識を失っていたのだそうです。つまり、少女たちは、意識を失った被害者に暴力をふるい続けていたわけ。事件を目撃した人たちは、Baynhamさんが何度も踏みつけられ、激しく蹴られるのを見てショックを受けたそうです。Baynhamさんはそのうちいびきをかき始め、それはつまり、脳に損傷を受けたことのあらわれだったとのこと。

なお容疑者3名はすべて殺人と暴力行為の嫌疑を否認しているそうです。裁判はまだ続くとのこと。

正直、去年この事件の報道の「少女達は彼を蹴り始めた」(the girls began kicking him)という表現を見たときには、まさかここまで激しい暴力だとは想像だにしていませんでしたよあたし。加害者3人は酔っていたとのことですが、それにしたって何の関係もない通りすがりのゲイ男性にこんなにも残虐なことをする理由がわかりません。まさかルドヴィコ療法にかけるわけにもいきませんし、どうしたらいいんでしょうかね、こういうの。

単語・語句など

単語・語句 意味
QC Queen's Counsel、勅撰弁護人
liken なぞらえる
loutish 粗野な
suffice 満足させる、……に十分である
forceful 力のこもった、力強い、激しい