アイオワ州の2議員、LGBT生徒をいじめから保護しない法案を提出

米国アイオワ州の下院議員Jason Schultz氏とMatt Windschitl氏が今週、LGBT生徒を"Safe Schools Act"(直訳するなら『学校安全法』)の対象から外す法案を共同で提出したというニュース。

2007年に成立したこの法律は、アイオワ州の公立学校と私立学校の両方に、生徒たちを学校職員、学校のボランティア、他の生徒たちなどからのいじめやハラスメントから守るためのポリシーを設立するよう義務づけるもの。現行法では、性的指向ジェンダーアイデンティティーにもとづくいじめやハラスメントもカバーする内容となっています。ところがSchultz議員とWindschitl議員は、この法律から性的指向ジェンダーアイデンティティーに関する部分を取り去る、つまり実質的にLGBT生徒を保護の対象から閉め出す法案を提出したとのこと。

Schultz議員がWHO-TVに語った内容によると、この法案の「理論的根拠」とやらは、「憲法修正への投票を推し進めること」らしいです。アイオワ州では、昨年4月に同性婚が合法化されています。その際、最高裁が合法化の根拠のひとつとして挙げたのが、"Safe Schools Act"などの法律だったんだそうです。そこで、


議員たちが同性婚について議論できるよう、Safe Schools Actやその他すべてのアイオワの法律からこの言い回し(訳注:性的指向ジェンダーアイデンティティについての言い回し)を取り除きたい

wants to take out the wording in the Safe Schools Act, and all Iowa legislation, so lawmakers can debate same sex marriage on the floor.

というのがこの議員の意向だとのことです。

……言ってることがマジでわからないんですが。要するに

  1. 最高裁判決をひっくり返して同性婚を違法化したい
  2. そのためにはLGBTを保護する法律があると困る
  3. だから法律からLGBTを守る言い回しを抜いちゃえ

……ってこと? 頭、おかしくない? 議論も何もまず結論ありきで、そのためには子供たちを危険にさらしても平気なわけ? アンチゲイないじめによる子供の自殺が相次ぐアメリカ(参考:ジョージア州の11歳男子、ホモフォビックないじめに耐えかね自殺 - みやきち日記)で、よく堂々とこんな法案が提出できたものです。結局、人の命や安全よりも、自分の(または自分に投票しそうな人たちの)考える「道徳」の方が大事なんだろうなあ。

同州でLGBTQA生徒の支援に取り組んでいるNPOアイオワ・プライド・ネットワークのRyan Roemerman代表が、的を射たことを言っています。


「この法律がなぜ必要なのかを示すのに、これ以上によい例はありません。アイオワの若者たちがこのような偏見持ちにならないために必要なんです」
“There is no better example as to why we have this law, so youth in Iowa don’t grow up to be like these bigots.”

単語・語句など

単語・語句 意味
rationale 理論的根拠