「ゲイを異性愛者に変えようとする『治療』のせいで、自殺寸前まで追い込まれた」米同性婚裁判でゲイ男性が証言

カリフォルニア州同性婚禁止の是非を問う裁判で、26歳のゲイ男性が、「10代のときに受けさせられた性的指向の『治療』のために自殺寸前まで追い込まれた」と証言したというニュース。

彼の名はRyan Kendall。同性婚推進派の弁護士が、人間の性的指向は通常変えられないということの証人として出廷してもらったとのこと。

Ryanさんが両親にゲイだと知られたのは13歳の時。両親がKendallさんの日記を読んだためにバレてしまったんだそうです。以下、Ryanさんの証言。


「母が私を見て、お前は地獄で焼かれると言ったのを覚えています」
"I remember my mother looking at me and telling me I was going to burn in hell,"

この両親はRyanさんをまずキリスト教系のセラピストにかからせ、次にNational Association for Reparative Therapy of Homosexuality(直訳するなら『全国同性愛治療協会』) のより強烈なプログラムを受けさせたとのこと。Ryanさんは18ヶ月におよぶプログラムの間じゅう、自分の性的指向が変わるとは思えず、セラピストや両親からゲイは悪人だと聞かされ続けるあまり絶望して自殺寸前まで追い詰められたそうです。


「母は私のことが大嫌いだとよく言っていました」と彼は言った。「一度など、ゲイの息子を持つぐらいなら中絶しておけばよかったと言われました」
"My mother would tell me she hated me," he said. "Once she told me she wished she had had an abortion instead of a gay son."

なお、同性婚反対派のJames Campbell弁護士は、「この裁判の法的な争点とは無関係」として、Ryanさんが証言台に立つことに反対したとのこと。でもねえ、「結婚したければ異性愛者になればいい、ならないお前が悪い」とか言って差別を温存しようとする人もいる以上、こうした証言は大事だと思うんだよね。「異性愛者に『なれ』ったってなれねーよバカ!」「むしろそんな『治療』は害しかおよぼさねーよ!」っていう視点をつきつけることは、やっぱり必要。
いや、中には異性愛と同性愛の間を自由自在にスイッチできる人もいるのかもだけど、それでもやっぱり「じゃあ、異性愛にスイッチしたときだけ人並みの権利を認めてあげる」っていうのはおかしいわけですけどね。根底にある不平等を放置したままで「二等市民が嫌なら一等市民になればいいのに」って、それ何か違うでしょっていう話ですよ念のため。

そんなこんなで着々と進んでいるこの裁判。着地点はどこにあるんでしょうね。実の息子に向かって「地獄で焼かれる」だの「中絶しておけばよかった」とか言っちゃう人々を喜ばせるような結果にだけはなってほしくないと思います。

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