「同性愛はキリスト教聖職者による性的虐待と関連なし」米研究が報告

性的虐待に関する話題を含みます。フラッシュバック注意。

以前ローマ・カトリック教会の聖職者たちが児童性虐待スキャンダルに際して発表した、「ゲイの聖職者は異性愛者の聖職者よりも子供に性的虐待を行いやすい」とする説には何ら根拠がないとする研究結果が発表されたというニュース。

この研究は、犯罪法学を専門とするジョン・ジェイ大学で行われているもの。研究結果がすべて報告されるのは2010年の末になる予定だそうですが、2009年11月17日(火)の時点で、今のところ同性愛を虐待の予測要因とする証拠は何もないと発表されたとのこと。


「私たちが提唱しているのは、性的虐待の問題から性的アイデンティティの概念を切り離そうということです」ジョン・ジェイ大学のマーガレット・スミスは、合衆国カトリック聖職者会議で述べた。「この件に関しては、今現在私たちが持っているデータからは、同性愛者であるというアイデンティティと、その結果として虐待傾向が増加するかということに、関連性は見出されていません」
“What we are suggesting is that the idea of sexual identity be separated from the problem of sexual abuse,” said Margaret Smith of John Jay College, in a speech to the U.S. Conference of Catholic Bishops. “At this point, we do not find a connection between homosexual identity and the increased likelihood of subsequent abuse from the data that we have right now.”

被害者の大半が少年であるため、これまで教会の内外から、同性愛が性的虐待の原因ではないかという疑問が何度も提示されてきたとのこと。しかし、性犯罪者研究の専門家の多くは、性的指向と虐待とのつながりをすべて否定しているのだそうです。ジョン・ジェイ大学の研究者Karen Terryさんは、

  • 性的なアイデンティティと行動とを分けて考えること
  • 性犯罪者が獲物を探すとき近づきやすかったのは誰なのかに目を向けること

が重要であると述べています。

いち同性愛者として言わせてもらえれば、こんなの当たり前のことなんですけどね。幼女を性的に虐待する異性愛者男性がいても、誰も異性愛は児童性虐待の要因だなんて言わないでしょう。その一方で、男児性的虐待に遭うととたんに同性愛が虐待原因だと決めつけられてしまうのはおかしいです。「性的指向が同性に向くか異性に向くか」と、「チャイルドマレスター(子供を性的に虐待する人)であるかどうか」は別物で、そこは分けて考えなければならないはず。こうした研究結果が人口に膾炙することで、「同性愛者は常に襲う相手を物色しているセックスモンスター!」みたいな偏見(百合漫画とかの中でもうんざりするほど出てきますよねーこういう偏見……)が少しでも弱まるといいなと思います。

単語・語句など

単語・語句 意味
preliminary 予備の、前置きの、
to date 今まで、現在のところ
subsequent 結果として起こる、続いて起こる