米アーカンソー州の10歳少年、「同性愛者が平等に扱われるまでは」と忠誠の誓いを拒否

米国アーカンソー州の10歳の少年が、同国のLGBT市民が平等な権利を得るまでは「忠誠の誓い」を拒否すると発言して話題になっているというニュース。

「忠誠の誓い」とは、アメリカ国民の自国に対する誓約であり、小学校の始業時などによく国旗に向かって斉唱するもの。以下、忠誠の誓い - Wikipediaより誓いの内容を引用してみます。


I pledge allegiance to the Flag of the United States of America, and to the Republic for which it stands, one Nation under God, indivisible, with liberty and justice for all.[2] (私はアメリカ合衆国国旗と、それが象徴する、万民のための自由と正義を備えた、神の下の分割すべからざる一国家である共和国に、忠誠を誓います)

この少年Will Phillipsくんは、10月5日、クラスの他の児童たちが起立してこの誓いを唱和する中、座ったままでいようと決意したとのこと。代用教員はWillくんを立たせようとしましたが、彼はこれを拒否。その後も何日か起立を拒否し続け、ついに代用教員が怒り出したのだそうです。で、Willくんには「なぜアメリカ人は忠誠の誓いを行うのか」について書くという宿題が出され、校長がWillくんの母親Laura Phillipsさんに電話をかけるという事態になりました。ちなみにLauraさんは、息子には誓いを拒否する権利があるとして校長に謝罪を求めたそうですが、校長はこれを拒否したそうです。

なお、米国では1943年に、学校は忠誠の誓いを拒否したことで生徒を罰してはならないとする最高裁判決が出ているとのこと。

LauraさんはArkansas Times紙の取材に対し、「息子は単に機械的に誓いを唱えることはしません。うちではあの子を何が正しくて、何が間違っていて、何がフェアなのか気づくように育てました」と語っています。Willくんの両親は異性愛者ですが、一家にはオープンリー・ゲイの友達がたくさんいて、プライド・パレードなどのLGBTイベントにもよく参加しているんだそうです。Willくん自身は同紙に対し「今の時点で万人のための自由と正義があるとはまったく思えません」と述べているとのこと。

Willくんは今も忠誠の誓いを拒否し続けています。誓いを拒否したことで、学校ではWillくんにアンチゲイな悪口をぶつけてくる子もいる一方、支援してくれる友達もいるそうです。以下、Arkansas Times紙から「アメリカ人であるとはどういうことか」と質問されて、Will Phillipsくんが答えた言葉です。


言論の自由。異議を唱える自由。それが、ぼくが考える、『アメリカ人であること』の典型です」
"Freedom of speech. The freedom to disagree. That’s what I think pretty much being an American represents."

なんて大人びた10歳だろうと思ったら、この子、4年生をスキップして既に5年生になってるんだそうですよ。そりゃ、頭も回るわ。学校の廊下でWillくんを「ゲイ野郎」("gaywad")とか罵っていい気になってる同級生たちや、5年生よりもっと年上なのに「万民のための自由と正義」の意味を考えようともしない大人たちはもう少し成長すべきだわ。

単語・語句など

単語・語句 意味
pledge of allegiance 忠誠の誓い
substitute teacher 臨時[代用]教員
rote 機械的な反復
epithet 侮蔑[ののしり]のことば、悪口、悪罵