カリフォルニアの医療機関で人工授精治療を拒否されたレズビアン、訴訟を経て和解へ


カリフォルニア州在住の女性が、性的指向を理由に人工授精治療を拒否した元主治医らを相手取って起こしていた裁判で、先月29日、和解が成立した。翌日、AP通信が伝えた。
グアダルーペベニテスさん(36)とベニテスさんの同性パートナーは、2001年、性的指向を理由に人工授精治療を拒否されたとして、ヴィスタにあるNorth Coast Women’s Care Medical Groupを提訴。昨年、カリフォルニア州最高裁が、同州法が定める性的指向による差別の禁止は、医療現場にも適用されるとし、キリスト教を信仰する医師が宗教的信条を理由に医療行為を拒否することは違法であるとの判断を下していた。
医師とベニテスさん双方の弁護人は、金額は明らかにしないものの、金銭により和解に至ったことを明らかにした。

医療機関でのレズビアンへの人工授精拒否問題はたしか英国でも起こっていたと思うんですが、米国のこちらのケースは無事和解に至ったようで。「キリスト教を信仰する医師が宗教的信条を理由に医療行為を拒否することは違法である」という最高裁の判断はまことにまっとうだと思います。もしこれが通らなければ、たとえば「輸血を是としない宗教に入信している医師にかかった患者は、輸血拒否されても文句が言えない」なんてことになってしまいますからね。医療と信仰は分けて考えるべきでしょう、やはり。
……と言うと「輸血するかどうかは命にかかわるが、人工授精しなくても死なない(だから同性愛者の人工授精を拒否してもよい)」とか言う人が雲霞のようにわいてきそうでイヤなんですが、一応釘を刺しておくと、異性愛者だって人工授精しなくても死にはしませんよ。それでも医療機関で人工授精治療を受けることはできる。これは医師側の「宗教的信念」によって患者が受けられる医療サービスに差をつけられてしまうことが不当だという話なんであって、そこでいちいち「生死にかかわる問題でないかぎり同性愛者は差別してよい」みたいな無邪気な偏見を開陳されても困るってもんです。以上、念のため。