同性カップルの養子と異性カップルの養子では、情緒的発達に有意の差はない(米研究)

米国で行われた研究で、親が同性カップルであろうと異性カップルであろうと、養子の情緒的発達に有意の差はないと判明したというニュース。

これは今月「Adoption Quarterly」紙に発表された研究で、調査対象は1384組のカップル(うち155組が同性愛カップル)。家族構造、子供の養子縁組前の生育歴および現在の精神状態、家族構造などが調査されています。

研究の結果、養親の性的指向は子供の情緒障害の要因とは認められなかったとのこと。感情面の問題に大きな影響を与えやすいのは、親のセクシュアリティではなく、養子の年齢や、養子に迎え入れられる前の性虐待などだったとのことです。また、カップルの年収が増えたり、カップルが養子受け入れのプロセスに満足していたりすると、養子の幸福度が上がることも判明したそうです。

この研究を発表したのはテキサス大学ソーシャルワーク学部のScott Ryan学部長と、東カロライナ大学のPaige Averett助教授およびBlace Nalavany助教授。以下、Ryan学部長のことば。


「我々の研究で、ゲイやレズビアンの両親に育てられた子供たちと異性愛者の両親に育てられた子供たちの間には何の違いもないことがわかりました。(同性愛者であろうと異性愛者であろうと)人間は人間でしかないのです」
"Our research shows that there is no difference in children raised by gay or lesbian parents and heterosexual parents. People are people."

次に、Averett助教授のことば。


「わたしたちは、ゲイやレズビアン異性愛者と同じくらい養子を迎え入れるのに適していると示しているデータに注目しなければなりません。なぜなら、少なくとも13万人の子供たちが、わたしたちが正しい情報を持った味方となってくれることを頼りにしているのですから」
"We must pay attention to the data indicating that gay and lesbian parents are as fit as heterosexual parents to adopt, because at least 130,000 children are depending on us to act as informed advocates on their behalf."

13万人というのはおそらく米国内の話だと思いますが、世界中に(もちろん、日本にも)行き場のない子供がたくさんいる以上、こうした研究の意義は大きいと思います。想像だけで「同性愛を認めると次世代が育たず国が滅びる」とか言ってる皆様がもし本当に人口減少を憂えているのなら、このような研究結果をふまえて積極的に同性愛カップルの養子迎え入れを認めるべきなんじゃないでしょうかね。

単語・語句など

単語・語句 意味
emotional problem 情緒障害、感情面での問題
distress 大きな悩み、苦悩、悲しみ、心痛、災難、苦痛
indicator 指標、尺度