リトアニアの議会、学校やメディアが同性愛について述べることを禁ずる法案を可決(追記あり)

リトアニアの議会が、学校や、青少年が利用可能なメディアで同性愛に関する情報を提供することを禁止する法案を可決したというニュース。

「同性愛、(または)両性愛プロパガンダ」は、未成年者への不利益になる、という判断らしいのですが、人権活動家からは「同性愛嫌悪の制度化」「表現の自由の侵害」「ホモフォビックないじめについての討論まで禁じられてしまう」として早くも批判を浴びています。

アクティヴィストのPeter Tatchell氏は、この法律は「明らかにヨーロッパ人権協約とEU基本権憲章に違反している」「世界人権宣言における平等や反差別に関する条項、そして子どもの権利条約にも反している」として批判しています。以下、彼の発言。


リトアニアはこうした国際的な人道主義的宣言に調印しておきながら、今度はそれを平然と無視しようとしている。EUや国連の一員にはなりたいが、責任は負いたくないというわけだ。
"Lithuania has signed up to these international humanitarian declarations but it is now defying them. It wants the rights of EU and UN membership, but not the responsibilities.


EUには迅速かつ断固とした行動を起こしてほしい。EUは、リトアニアや、他のホモフォビックな裏切り国たちに対し、EUの一員たることはEUの法と価値観を支持するという条件あってのものだと明確に示す必要がある。同盟国が(法や価値観を)えり好みすることが許されてはならない。

"I hope the EU will take swift and tough action. It must make it clear to Lithuania and other renegade homophobic member states that membership of the EU is conditional on adherence to EU laws and values. Member states cannot be allowed to pick and choose.

ヨーロッパにはEUがあっていいなあ、とちょっと思ってしまいました。いやEU諸国にだってもちろんホモフォビアはあるし、EUさえあれば何でも解決というわけではないというのはわかるんですよ。でも、こうした議論が国内の世論だけで押し切られてしまいそうな日本に比べ、EU加盟の利得というエサと引き替えに「待った」をかける手段があるというのはうらやましいなと。リトアニアがこうした批判に対しどうするのか(または何もしないのか)、またEUは加盟国のこうした動きをどう扱うのかなど、今後も見守っていきたいと思います。

2009年6月20日追記

アムネスティ・インターナショナルも、この法案を批判している模様。


「この改正法案を通過させるための採決によって、セイマスは、個人の性的指向に基づく差別を助長した」と、アムネスティのヨーロッパ・中央アジア部長ニコラ・ダックワースは述べた。
この改正法案は、身体的あるいは精神的暴力の描写、人の遺体または無惨に切断された死体の表示、そして、不安や恐怖を煽ったり自傷行為や自殺を助長する情報などと同様の問題として、同性愛を分類しようとしている。
「改正法案は、表現の自由の権利を否定し、生徒たちが必要とするかもしれない支援や保護へのアクセスを奪うものである」「リトアニア国会は、最終採決において、全ての人の全ての権利を尊重し、この改正法案を否決すべきである」と、ニコラ・ダックワースは述べた。