ジャマイカのセクシュアルマイノリティ団体、米国によるジャマイカ製品ボイコットに反対の意を表明

※このエントリは、「ジャマイカのLGBT弾圧への抗議のため、米サンフランシスコでジャマイカ製品ボイコット始まる - みやきち日記」の続きです。

ジャマイカのセクマイ団体The Jamaican Forum for Lesbians, Allsexuals and Gays(JFLAG)が、米国で呼びかけられている、「ジャマイカ国内のLGBTバッシングへの抗議として、ジャマイカ製品をボイコットしよう」という運動に反対の意を表明しています。
ジャマイカのストレートたちはこのボイコットを外国人からの干渉と受け取り、同性愛者に対する憎しみと敵意をさらにつのらせるだろう、というのがJFLAGの見解です。JFLAGはまた、こうしたボイコットが同性愛者への暴力を正当化してしまうのではないかと懸念しています。実際、昨年カナダのLGBT団体EGALEが同じようなボイコットを行った結果、レズビアンを含む多くの人々がストレートから攻撃を受けたという前例があるんだそうです。
さらに、このボイコット運動がターゲットのひとつとしているレッド・ストライプ社は、少し前に、「ジャマイカ人に対するあらゆる暴力を助長するようなイベントやアーティストへの資金援助を取りやめる」ということをしている会社なんだとか。そんな会社をボイコットしたら、せっかくの進歩も無になってしまいかねません。「自分たちは対話などさまざまな戦略でゆっくりと問題解決に当たっている。過激な行動に出る前に、自分たちと連絡を取ってほしい」というのが、JFLAGの主張です。

こういうのを見ると、「無邪気な正義感だけでは事態は解決しないんだな」と痛切に思わされますね。助けたい相手と意思疎通して、状況を分析して、十分に戦略を練ってから行うのでなければ、よかれと思ってやったことがかえって相手を窮地に追い込んでしまうこともあるわけですよ。安全圏でお酒や旅行をちょっとだけ自粛して、「いいことをした」と自己陶酔に浸っている場合じゃないわ。というわけで、いろいろと考えさせられたニュースでした。

単語・語句など

単語・語句 意味
mindful 心に留める、忘れない、注意する
repercussion 影響、(事件などの)反動、反撃、しっぺ返し
the public 世間、社会
by extension 延長として、転じて、拡大解釈すると、したがって
on the ground その場で
objective 目標
dialogue 対話
intervention 間に入る、調停、仲裁、介入、内政干渉
in crisis 危機に直面して
erode 衰退させる、むしばむ
drastic 激烈な、強烈な、思い切った、徹底的な