ビリーズブートキャンプエリート体験記(その2) - ミッション2「余分な贅肉を撃破せよ!」

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肩と腕ばっかりでがっかり。

ミッション1のあまりのぬるさにがっかりし、「エリートでは一番きつい」と言われているミッション2に期待をかけていたのですが、残念ながらその期待は裏切られました。

というのは、ミッション2もミッション1と同じく、肩と腕の運動ばっかりだからです。44分間ひたすら「これは三角筋上腕三頭筋に効くぞ!」(と、肩や腕の運動)→「筋肉をほぐそう」(と、しばらくパンチやツイストを行う)→「これは三角筋(略)」のくりかえし。腕立ても腹筋もスクワットもなく、大筋群はほったらかし。何なんですかこれ。
負荷はそれなりに高いんですが、こんなものの一体どこが"Maximum Power"(原題)なのかと。木だって貧弱な幹から太い枝は生えないのと一緒で、人間も体幹部をおろそかにして肩や腕だけ強くするのは無理*1なんですけど。ちなみに、通常の筋トレでは初心者は肩や腕を個別に鍛える必要はない(より厳密には、鍛えても効果が上がりにくい)と言われています。それらの部位のトレーニングに手を出すのは、

  • ベンチプレスで体重×10レップス
  • スクワットで体重の1.5倍×10レップス

が挙がる(ただし、女性はこの70%ぐらいの重量でOK)ようになってから、というのが基本です*2。逆に言えば、ベンチプレスどころか腕立て伏せの強度ですら胸を鍛えないミッション2でいくら肩や腕を鍛えても、たいした効果は期待できないってことです。日本語タイトル通りに「余分な贅肉を撃破」するために行うにしても、肩や腕よりも大きな筋肉である大腿四頭筋(太腿の筋肉)を多用した方がはるかに効率がよく、要するにエアロバイクやジョギングでもやった方が楽に効果が得られると思います。

なんでこんな構成にしちゃったんでしょうね?

考えられるのは、まず、

  • 「ビリーバンド最高! ビリーバンドさえあれば全身鍛えられるのだ!」とアピールしたいあまりに、腕立てやスクワットのような自重によるトレーニングを全部省いてしまった

ってこと。事実、名目上は胸や脚を鍛える種目(ビリーバンドを使ったもの)も入ってるんですよね。肘を直角に曲げて目の前で合わせる種目とか、バンドを2本とも片足につけて行うキックとか。でも前者はとても大胸筋の種目とは言い難いし*3、後者はそもそも負荷が少なすぎると思います。だいたい、同じゴムチューブで全身のあらゆる筋肉を鍛えようっていう発想自体が無理なんですよ。ビリーバンドを肩の種目にちょうどいい負荷にすれば脚には軽すぎるし、脚に合わせれば肩には重すぎるしで、結局中途半端に終わってしまうと思います。おまけにチューブトレーニングは終動負荷なので、そればっかりやってると体の動きも悪くなってしまいます。なんでそこまでビリーバンドにこだわるのか、よくわかりません。

もうひとつ考えられるのは、

  • 「腕立てもランジもスクワットもきついから嫌〜。でもTシャツからのぞく肩や腕はムキムキにしたい」などとほざく馬鹿ユーザの声に迎合してしまった

ってこと。だとしたらブートキャンプも地に落ちたもんですね。

このプログラムの、評価できる部分

ここまでさんざん文句を言ってきましたが、単純に「肩と腕を最大にパンプさせる」ということを狙うなら、良いプログラムだと思います。つまり、既に他の運動(2005年版ブートキャンプとか)で全身鍛えている人が、「今日は肩と腕だけ最大限に追い込みたい」と思ったときにはなかなか使えるメニューなのではないかと。

まとめ

種目はほとんど肩や腕ばかりで、おまけにビリーバンド使用にこだわりすぎた妙なプログラム。全身鍛えたい人は2005年版ブートキャンプの「基本」か「応用」をやった方がいいし、有酸素効果を狙うならジョギングやエアロバイクでもやった方がいいのではないかと思います。ただし、他の運動をしている人が、肩と腕だけ最大限にパンプアップまたはバーンさせたい時に使うなら、そこそこ使える内容だと言えるでしょう。

*1:ある程度の効果は上がりますよ。でも、その後、簡単に頭打ちになります。

*2:出典:小山裕史『新トレーニング革命―初動負荷理論に基づくトレーニング体系の確立と展開』講談社

*3:大胸筋が最大収縮しませんから。ダンベルでもあれをやって『胸が鍛えられる』と思いこんでる人がいますが、あれって結局ペクデッキ(バタフライマシンともいう)などのトレーニングマシンの動きを真似しているだけで、マシンとは物理的な負荷のかかり方が違うため、無意味です。