百合萎えの話(当事者視点編)
うちの4月29日の日記にtoppoiさんがトラックバックを送ってくださったこの記事(「百合萎えの話」)が非常に面白かったので、当事者視点から見た「百合萎え」についてもここで少し述べてみたいと思います。
百合もので萎える台詞・文章Best5について
わはははははどれもすげえ共感。
*私的:百合もので萎える台詞・文章Best5*
- 「男なんてがさつでクサくてゴツゴツして嫌!やっぱりやわらか〜い女の子のほうが…」
- ヘタレ男「あいつレズなのか…美人なのにもったいない…」
- ヘタレ男「おれも混ざりたい…」OR「乱入OKですか!?」
- 「あたし、小さい頃に○○(義父に乱暴されたとか、そんなの)があったせいで、男の人ってだめなのよね…」
- 女同士だからこそのツボを心得た動きで…
- なんちゃってなりきり臭がぷんぷんと…。
- 死ね。
- お前が彼女とセックスしていたとする。いきなり男が乱入してきて、彼女をファックしはじめたらorお前のケツに剛直棒を突き入れてきたらどんな気分になる?
- こういう設定のキャラがいるのはいいとして…(あまり好かんけど)。=レズみたいな図式を掲げられると殺したくなる。
- なんか知らんがむかつく。
当事者としてこれら5点の萎え台詞/文章にどう思うかを少しつけ加えてみると、こんな感じです。
- 男性の筋肉だって十分美しいし、そもそも繊細な男性も清潔な男性も山ほどいると思うんですよ。なのに一面的に「男なんてがさつでクサくてゴツゴツして」みたいに決め付けて男性全体を貶める女性からは、「男と付き合いたくてたまらないのにそうできないノンケ女の『すっぱい葡萄』」のかほりがプンプンするので、ガチな人としてはすごく警戒しますね。そもそも、百万言を費やして「男は嫌い」と騒ぐより、たった一言「あなたが好き」と好きな女の子に告げるほうがよっぽど真実味があって心に響くのに、そうできないあたりがノンケ臭いのよ。
- 「もったいない」って「現在のむだ(粗末)な使い方が惜しまれる様子だ」(新明解国語辞典より)って意味よね。勝手に人のラブラブハッピーな恋路を「むだ」扱いするんじゃないわよっ! 第一、そんなクソノンケの寝言を聞かされる時間の方が、はるかに人生の無駄よっ!
- 略。(toppoiさんのお言葉以上に説得力のある説明はこの世に存在しないと思います)
- トラウマが原因でレズビアンに「なった」人も、そりゃ、いるのかもしれませんが(会ったことないけど)、レズは全部そうだなんて決め付けられるとものすっげえムカつきますね。森奈津子の『耽美なわしら 完全版』(レビュー)に登場するレズビアンのキャラクタ・田中彩子のこの台詞↓がすべてを物語っていると思います。
だいたい、どうして、レズになるのに言い訳じみた理由が必要なわけっ? わたしはねぇ、生まれつきレズビアンなのよっ! (引用者中略)男に棄てられたり犯されたりセクハラされたり裏切られたりすることもなく女が大好きで悪かったわねぇっ」(森奈津子.(2004).『耽美なわしら 完全版 (上)』(pp7-8).フィールドワイ.)
- 女体には「こうすればこうなる」みたいな単純なスイッチ(=『ツボ』)があると思い込んでるバカが、よくこういうことを言いたがるんですよねー。発言者(もしくは書き手)のきわめて貧困な性生活を垣間見たようで、うすら寒い気分になりますね。
まとめ
つまるところ、あたしにとっての百合萎えポイントは、「まともな共感力や洞察力がない人が、女のコ同士の関係に己のヘタレな妄想を一方的に押し付けてうっとりする」という行為なんだと思います。そんなものより、整合性のあるまともなストーリーが見たい。女のコ同士の、男が嫌いだからとか過去にトラウマがあるからとかこの方が観客が喜ぶからとかいうくだらない理由なしの、「ただ、この人が好き」という愛のかたちを見たい。結局何が言いたいのかと言うと、「『アカイイト―花影抄―(前編)』(レビュー)であの人があの人を脈絡なく誘惑するシーンはやっぱりいらんだろーが」ということなんですけど。『アオイシロ』漫画版やゲーム本編には、ああいうウケ狙いだけのあざとい百合シーンが無いといいなあ。