『ラビット病』
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大人になってから読んだらまたいろいろと新たな感慨があったんだけど、この本全体のツボはやっぱり、ウィリーの叫ぶこの台詞でしょうね。(ネタバレ嫌いな人は(初版から14年も経って『ネタバレ』もないもんだが)以下は読まない方がいいかも)
もっと、真面目に恋愛しろよ。幸福に息が詰まりそうなくらい、男に愛されてみろよ。ついでに、男の息も詰まらせてやれ! こんちくしょう!このウィリーの台詞の後で、ゆりロバがのほほんと歌う「うーさーぎーおーいし、かーのーやーまー」を聞いてしまったら、きちんと愛し愛されていない人はみな「自分たちのうさぎの欠如に気づいて、胸を押さえてうずくま」るしかないよねえ、もう。お話をこのシーンまで読み進めてなおゆりロバのことを「バカップル」と嘲笑できる人というのは、みり子やしん子以上の重度のうさぎ欠乏症を患っているんでしょう、きっと。
どうでもいいけどあたしがこの本のハードカバー版を「なくした」と書いたのは実は不正確で、正確には「当時の恋人に貸したら戻ってこないままになった」です。あれはあれでまた、うさぎの欠如した関係であったことよ(詠嘆)。まあ若かったしな。